7Sep

ボクサー物語、運命のゴング
大好きなY社長のもとを離れ、
再びアルバイト生活。
「茨城県取手市」に
住まいをかえ、
江戸川から利根川に
ロードワーク場所も
変化していた。
そしてその1年後の
1991年5月20日、
後楽園ホールでの出来事。
復活戦として迎えた
大事な試合のリングに
私は立っていた。
「カ~ン」
試合終了のゴングが
鳴り響き、勝者として
両手を挙げることができた。
「やった! これで
新人王戦にエントリーできる」
応援に駆け付けてきて
くれた仲間に、観客に
頭を下げ、
次も「がんばるぞ!」
と心に誓った。
苦しい練習を乗り越え、
この一瞬を味わうために
がんばってきた、
生きてきたのだ。
自分の復活戦に勝ったのだ!
さらに、その試合中に
覚えのある声がはっきり
聞きとれていた。
「Y社長だ!Y社長の声だ!」
自分の事を考えるので
精一杯だった私は、
試合の招待状も
試合があることも
Y社長に告げていなかった。
そんな自分の試合があることを、
人づてに聞いたのだろう。
自分勝手に辞めていった、
恩知らずの大ばか者を、
多忙の中応援に駆けつけて
くれていたのだ。
試合後、会場の中から
Y社長を真っ先に探しだし、
お礼を言いにいった。
「前の試合より良くなった」
と嬉しい言葉、そして
激励賞までいただいた。
「次も応援にくるから連絡しろ」
Y社長の熱い思いやりが
ビシビシ伝わってくる。
もう、やる気倍増モードである。
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やっててよかったと思う瞬間
この一瞬を味わうために、
スポーツ選手は頑張ることが
できる。
この味を求めて、
復活するプロスポーツ選手も
多い。
辞めてしまえばこの緊張感は
味わえない。
これを断ち切って、
たんたんと仕事を行う。
今はこれが最強だと思う。
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